猫の里親探しを推進するための提言
望まれる民間協力による里親探し





1.猫の譲渡は1%にも満たない

平成10年度の保健所の猫の引き取り数は、全国で297,878頭ありました。
その内、一般に譲渡された数は、わずか1,476頭、0.5%にも満たない数字です。
そして、その数は実験施設への譲渡の数よりも下回っているのが実情となっています。

かつては、実験施設への譲渡の1/10以下の数字しか一般への譲渡がなされていませんでしたが、最近はその差も埋まりつつあります。

しかしながら、その差が埋まってきた主たる要因は、保健所において実験施設等への譲渡を、世論の反対意見の高まりによって次第に見合わせるようになってきたことによるのであって、決して一般譲渡が増えてきたことによるものではありません。

事実、平成元年は一般譲渡:1,061頭・実験施設:12,905頭であるのに対し、平成10年度は一般譲渡:1,476頭・実験施設:1,936頭となっていて、一般譲渡の数字があまり伸びていないにも係わらず実験施設への譲渡は大幅に減少しているのが分かります。

では、なぜ一般譲渡は伸びていないのでしょう。


参考資料はこちらです。




2.施設の収容量の問題

どこの保健所(保護センター)であっても、自ずと収容量には限界があります。
実情、その許容範囲を超えて猫が持ち込まれている現実があります。
日々持ち込まれる猫たちを、例え処分までのわずか数日の時間であっても、その世話をする労力は相当なものでしょう。
ましてや、シェルター的に譲渡するための施設を運営するとしたら・・・。

そして、そのための費用・・・それはいうまでもなく私達の税金で賄われます。

しかしながら、わが国日本においては、犬猫をたかが動物と考える方が多いために、沢山の方のコンセンサスを得ていくことは容易ではないのが実情です。
事実、迷惑を掛ける野良猫であれば、処分が妥当と考える方も多いのです。

従って、行政サイドに一般譲渡を増やすように要求したところで、そうそう簡単には増えて行くものではありません。

この風潮を変えなくてはならない・・・それは事実その通りであって、そのための活動は既に、ねこだすけさんなど各愛護団体はもとより、個人レベルであっても、本の執筆パネル展インターネットを利用しての広報活動など、精力的に続けられているところではあります。

しかしながら、まだまだ満足な結果を得るに至ってはおりません。

愛護関係ですら、里親探しに充分な力を注ぐことなく、安楽死をすすめる例もあるのです。




3.保健所(保護センター)の努力

こんな状況下、行政は決して手をこまねいていた訳でもありません。

かつて日本各地にあった、いわゆる不要犬ポストは平成12年3月に宮崎県で廃止され、保健所職員の面談を経ることなく、犬猫を保健所に引取らせるようなシステムも無くなりました。
また、横浜市や東京都などでは、犬猫の引取りを求められた場合などは、飼育継続についての充分な説得がなされるとも聞きます。
不要犬猫の移動回収サービスを行っている自治体も少なくなってきています。
つまり、引取り数を減らす方策はかなり試みられていると言えるでしょう。
(愛護団体・個人の働きかけの成果でもあります)

しかしながら、一般譲渡につきましては、まだまだなのが実情です。
こちらを見ていただければ分かりますが、ただの一匹も一般譲渡をしていない自治体が相当数存在しております。
中には、一般譲渡をまったくせずに、実験施設への譲渡だけを行っているところもあります。

しかし、一般譲渡への取り組みは、確実に広がってきているとは思います。
特に、この問題では先進と言われている横浜市においては、6082頭の引取り数に対し一般譲渡数は316頭(平成10年度)と5%強の猫を一般に譲渡しており、実に全国平均の10倍もの数字となっております。
里親探しとは異なりますが、横浜市磯子区の例などは、行政の取り組みとしては注目に値するものと言えるかと思います。


以下にインターネットで検索できる、一般譲渡を行っている自治体のURLを紹介します。
(インターネットで情報公開しているところのみです。これ以外の自治体でも一般譲渡を行っているところがあります)

長野 高知 大分
千葉 栃木 長崎
兵庫 福岡 三重
宮城 山口 千葉

中で注目されるのは、高知県のDogStation動物情報ネットワークシステムです。
行政によるインターネット上での譲渡先探しは、恐らく全国唯一ではないでしょうか。

しかしながら、上記高知県では対象が犬であり、また、大分・栃木・兵庫・三重なども犬を対象にしているようです。
このことから考えて、他のインターネットで情報公開していない自治体の中にも、譲渡対象を犬のみとしているところがあるように感じられます。

つまり一般譲渡がなされてきている状況になってきているとは言っても、実際は、猫が萱の外という可能性もあるということなのです。




4.猫の里親探しは難しい

私は、過去十数年にわたって野良猫の里親探しをしてきました。
そんな中で感じることは、猫の里親探しは決して簡単なことではない、ということです。
掛け値なしに愛くるしいといえる、子猫であってもそれは言えます。
保護した子猫のすべての譲渡先を探せるなどとは、とても言える自信はありません。
ましてや成猫に関しては・・・。

里親探しは、知人のつてを頼り貰い手を探したり、ホスターを作成して動物病院やペットショップに貼らしてもらったり、新聞折込のタウン情報紙に掲載したりと、様々な努力をしても難しいのです。
インターネットが一般的になって来てからは、それらに加えてインターネットの里親掲示板にもせいぜい投稿してきました。
平成11年8月には、自分でもホームページを立ち上げるに至りました。

これらの努力の結果、里親決定率は、それでも多少は上がってきたと言えるかと思います。


しかしながら、行政の一般の譲渡先探しはいかがでしょうか?
現状では、残念ながら、とても効果があがる方法を採っているとは思えません。

猫を譲渡から除外していることも、猫の里親探しが困難である事がその理由にあるのかもしれません。





5.保健所(保護センター)の譲渡会の例


東京都の例ですが、毎月第四水曜日に譲渡会が開かれています。
猫の引取りを希望する場合、譲渡会の際に実施される事前講習会、譲渡時講習会それぞれ1時間の講習を受けなくてはなりません。
土日に行われる訳ではありませんので、猫の譲渡を受けたいと希望する場合、仕事を持っていたら休暇を取らざるを得ないわけです。

さらに、広報手段が整っておりませんので、事前にどのような猫がいるのか、まったく分からない状況で譲渡会に足を運ばなくてはなりません。
また、譲渡会が行われているセンターの所在地・連絡先なども積極的な広報がなされていない状況です。

従って、動物問題に強い問題意識をもち、ある意味確たる動機を持っておられるかた以外は、残念ながら期待薄ではないかと思われます。

猫の譲渡への道が開かれている・・・。
確かにそうでしょう。

しかしながら、これらの問題が改善されない以上、一般譲渡の数を増やす事は難しいのではないでしょうか。



今でもまず出来ること・・・、それは、
民間のwebでセンターの所在地、電話番号、譲渡会のシステム等の情報を公開していくことです。

誠におせっかいではありますが、広報のお手伝いを勝手にしてしまうのです。
具体的に公表されている事実を広く告知するだけの活動ですので、これであれば問題もないかと思います。

下記は、民間のホームページによるセンター及び譲渡会の情報です。
東京都動物保護相談センターの情報 (ねこトラブルの連絡会さん
しがけん動物保護管理センター (wannyanさん)

この問題を放っては置けない・・・そう考えるボランティアさんの気持ちが伝わってきますね。
この他にも民間のページがありましたら、ご紹介ください。

お近くのセンターの情報をお持ちの方は、メールで教えていただけませんか?
私の方でページ作成を行い、情報を公開させていただきたいと思います。

また、お住まいの地域のセンターと譲渡会の情報について、そのシステム等をwebで採りあげられた方がおられましたらメールでご一報ください。
当サイトからリンクさせていただきたいと思います。





6.望まれる今後の方向性

平日にセンターに足を運ばなくてはならない現状は、みすみす一般譲渡の機会を逃しているようなものです。
また、譲渡対象の猫の情報が公開されていないことは、譲渡希望者に予め選択する余地を奪ってしまっており、これでは例え平日に時間が取れる方であっても、中々センターに足を運ぼうという気にならないかと思います。

まずは、行政に土日の譲渡会の開催や譲渡対象の猫についての情報開示を望みたいところではありますが、人員や経費の問題などから、そう簡単には出来ないことかと思います。


そこで、これら一般譲渡に関する業務の一部を民間に委嘱して頂くのです。
根拠法令は、動物の愛護及び管理に関する法律第21条です。

<参考>
(動物愛護推進員)
第二十一条 都道府県知事等は、地域における犬、ねこ等の動物の愛護の推進に熱意と識見を有する者のうちから、動物愛護推進員を委嘱することができる。
2 動物愛護推進員は、次に揚げる活動を行う。
 一 犬、ねこ等の動物の愛護と適正な飼養の重要性について住民の理解を深めること。
 二 住民に対し、その求めに応じて、犬、ねこ等の動物がみだりに繁殖することを防止するための生殖を不能にする手術その他の措置に関する必要な助言をすること。
 三 犬、ねこ等の動物の所有者等に対し、その求めに応じて、これらの動物に適正な飼養を受ける機会を与えるために譲渡のあっせんその他の必要な支援をすること。
 四 犬、ねこ等の動物の愛護と適正な飼養の推進のために国又は都道府県等が行う施策に必要な努力をすること。


つまり地元のボランティアさんを動物愛護推進員として、一般譲渡に係る業務の一部を委嘱していただくのです。

具体的には
@ センターで譲渡の際に行われる講習について、動物愛護推進員に講師としての権限を認めること。
さらに、センター外での講習の実施を許可すること。(2項一、二関連)

A 譲渡対象猫の情報の公開と独自の譲渡先探し。インターネットを通しての情報の開示。(2項三関連)

B 譲渡先決定の権限の委嘱。(2項三関連)

C 動物愛護推進員による、譲渡を前提としたセンターからの猫の引き受け。(2項三関連)

といったところでしょうか。



特に、先般インターネットで緊急HELPが流された滋賀のセンターの際も思ったのですが、センターの動物達の譲渡先探しを民間のwebで出来れば、画期的な第一歩となるはずです。
ボランティアさんが可能な頭数をセンターから引き取り里親探しをしている例は、勿論あるはずです。
しかし、それでは引き取る頭数には自ずと制限があるのです。
インターネット利用は、引き取ることの出来ない動物たちにも生きる機会を与えるための、もう一つの手段になるかと思います。





7.最後に

今回、立川においておこった大量の遺棄事件、日本テレビでもニュースで採りあげられましたので、ご存知の方も多いかと思います。
遺棄された47匹の猫は、都内3箇所の動物保護相談センターに分散して保護されております。

通常は安楽死処分となるところ、現在のところ、都の判断により処分は保留されています。
猫には公費による不妊手術が行われ、譲渡先探しが行われています。

当初、都内のボランティアさんを中心として、webで写真公開をしながら、里親探しをする予定でおりました。
ところが直前になって、その計画はストップとなりました。
GOサインは出ていながらの一方的な出来事でした。
現在、少人数で47匹の猫を救うべく、必死に頑張っておられます。


民間には、里親探しの豊富なノウハウがあります。
また、動物問題に関するネットワーク作りも急ピッチで進んでおります。
受け皿となる下地はもう出来上がりつつあるといっても過言ではないと思います。

民間協力による里親探しが出来るようになれば、確実に一般譲渡の数字が伸びる筈です。

今後の方向性として、模索していきたい部分です。



作成管理:ねこのおじちゃん



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