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◆九官鳥返還請求事件
昭和六年(オ)第一九四五号
同七年二月十六日第五民事部判決
【上告人】控訴人 被告 Iu
訴訟代理人 Is St
【被上告人】被控訴人 原告 Ss
訴訟代理人 Ik Nk
<事件の概要>
自宅に飛び込んだ九官鳥について、一ヶ月が過ぎてもその飼主が現れなかったため、自己の所有物として飼養していたところ、上告人(被告)が警察官と共に被上告人(原告)の元を訪れ、当該九官鳥を連れ帰ってこれを占有したため、被上告人(原告)が民法第195条を根拠としてその返還を求めて提訴したもの。
第一審、第二審はいずれも被上告人(原告)の請求を容認したが、上告人(原告)は、この判断について法則の解釈に違法ありとして上告をした。
<主文>
原判決を破毀し本件を札幌地方裁判所に差戻す
<論点と裁判所の判断>
「他人カ飼養セシ家畜外ノ動物」の意義
加之民法第百九十五条の趣旨は、他人の飼養せる動物が逃失したる場合に於て、其れを捕獲せる者が動物の種類、其の他の事情に依り、之を野生其の他無主物と認むること多きを以って、其の善意を保護せんとする為設けたるものなること明白なり。
従って本条に所謂家畜外の動物の意義は、即、野生にして通常の観念上無主物と認めらるるものを指すものとするを、最も適当なる解釈なりとす。
一般社会通通念よりして九官鳥が北海道、否、我国に於て野生のものに非ざるものと認めらるる以上必ずや何人かの所有せるものに属し、従って其の際発見捕獲しらる場合は、所有者が抛棄したるものに非ざる以上、一応は遺失物法第一条により遺失物の拾得として認むべきものなるを以って、本件の如き被上告人側に於て、所有者不明なる場合は警察官署に届出すべきものなるに、不拘之ヲ占有領得し居りたるは、即、刑法第二百五十四条に該当するものと認めざるを得ず。
然るにも不拘原審が此点に関し、民法第百九十五条を適用し之を保護せんとしたるは法則の適用を誤りたるものにして破毀を免れざるものと信ずとふに在り。
「善意」の意義
同条に所謂善意の占有者たるには、捕獲当時無主物と誤信したることを必要とし、飼養主ありと信じたるも其の何人なるやを知らざる者の如きは、同条に所謂善意の占有者に非ず。
<参考>
民法 第百九十五条
他人カ飼養セシ家畜外ノ動物ヲ占有スル者ハ其占有ノ始善意ニシテ且逃失ノ時ヨリ一个月内ニ飼養主ヨリ回復ノ請求ヲ受ケサルトキハ其動物ノ上ニ行使スル権利ヲ取得ス
管理人補足
家畜外の動物については、本来野生の動物のことをさすということについては、注意が必要かと思います。
動物愛護活動の一環として、飼主のいないと思われる犬猫を保護をしたりするケースがあるわけですが、これについても同様の紛争が生じる可能性があります。
特に、里親として他人に譲渡した場合は、その返還は一筋縄で行かない可能性が充分ありますので、トラブルが起きないとは決していえないものと思います。
また、本判例では、このような際に遺失物法に従って届けない場合、刑法上の責任が問われる可能性があることにも言及しており、注意が必要かと思います。
但し、警察に届けて犬猫を渡してしまうことは、数日の間に保健所・愛護センターへの移管され処分されてしまう可能性もあります。
これについては、警察には遺失物として届けながら、動物の保管は占有代理人として引き続きこれを行うというような、そんな合意を警察と取り交わすような事が本来は必要なのかもしれません。
この場合、里親への譲渡に際しては、遺失物法に定める六ヶ月という期間は、その所有権移転を留保する取り決めも必要になってくるでしょう。
この点のトラブルは、こと犬猫の保護活動にに関しては、管理人はあまり実例を知りませんが、お心にとめておかれる必要もあるように思います。
*本文中の判決文は、管理人において、平仮名と句読点交じりの文章に改めさせていただいており、判決文原文とはその点で相違があります。
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