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◆ S37.02.01 第一小法廷・判決
昭和34(オ)1049 損害賠償請求
判例
S37.02.01 第一小法廷・判決 昭和34(オ)1049 損害賠償請求(第16巻2号143頁)
判示事項:
畜犬の飼主に保管上の過失を認めた事例。
要旨:
畜犬の占有機関がその操作制御方法を十分会得していなかつたにもかかわらず、公道上を、二頭一諸に運動させ、畜犬が被害者に跳びついた際その力に負けて制御できなかつたなど原判示のような事情(原判決引用の第一審判決理由参照)があるときは、飼主に畜犬保管上の過失がある。
参照・法条:
民法718条1項
内容:
件名 損害賠償請求 (最高裁判所 昭和34(オ)1049 第一小法廷・判決 棄却)
原審 東京高等裁判所
主 文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理 由
上告代理人弁護士谷正男の上告理由第一点について。
原判決が所論1摘示のとおり判示したこと並びに民法七一八条一項但書の注意義務は所論2のごとく通常払うべき程度の注意義務を意味し、異常な事態に対処しうべき程度の注意義務まで課したものでないと解すべきことは、所論のとおりである。
しかし、原判決の是認、引用する第一審判決は、本件グレートデン種の牝犬二頭は比較的性質が温順で、よく家族には馴れており、内一頭のりりーは被告が新宿区aに居住していた頃附近の学童に挑発され塀を飛び越えて追掛け一名に擦過傷を与えたこと、一般に犬はかん高い声をきらい本件二頭の犬もその例外ではないこと、右二頭の犬は本件事故当時判示のごとく大きくかつ力の強い犬であつたこと、並びに、かん高い声の衝撃によつて驚けば事故を起すこともあることが推認されこれに反する証拠がないこと(所論3の(2)ないし(4)の事実は原判決の認めなかつたところである)、および、訴外Aは判示のごとく小柄な男で、被告に雇われてから本件事故当日まで僅か半月を経過したばかりで、本件二頭の犬を取り扱つた期間も短く、まだ右犬の操作制禦方法を会得していなかつたにもかかわらず、右二頭の犬を一緒に判示公道を運動させたため右犬が原告Bに跳びついた際その力に負けてこれを制禦することができなかつた等の事実を認定しているのであつて、その認定は挙示の証拠関係に照らしこれを肯認することができる。
されば、原判決の所論判示は、通常の注意義務を認めた正当な判示であつて、所論の違法は認められない。
同第二点について。
しかし、原判決の是認、引用する第一審判決の事実認定は、挙示の証拠関係に照らしこれを肯認することができる。
所論2の事実は、原審の認定しなかつたところである。されば、所論は、結局原審の適法になした証拠の取捨、判断ないし事実認定を非難し、所論の違法あるがごとく主張するに帰し、採ることができない。
最高裁判所第一小法廷
裁判長裁判官 斎 藤 悠 輔 裁判官 入 江 俊 郎 裁判官 下 飯 坂 潤 夫 裁判官 高 木 常 七
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